使用性評価
使用性(Usability) とは、ユーザーがシステムを使用して特定のゴールを達成する際の効果性・効率性・満足性の度合いです。JSTQB AL TA シラバスv3.1.1(4.2.5節)では、テストアナリストが使用性評価を調整・支援する役割を担うと定義されています。
使用性の3つの側面
シラバスでは使用性評価の対象を以下の3つの側面に分類しています。
| 側面 | 概要 |
|---|---|
| 使用性(Usability) | UIを介してタスクをこなすユーザーの操作のしやすさ。欠陥があると効果的・効率的・満足感を持ってゴールに到達できない |
| ユーザーエクスペリエンス(UX) | 直接操作だけでなく、システムを使うことで楽しみや満足感を得られるかという体験全体 |
| アクセシビリティ | 障害を持つ人など特定のニーズ・制限を持つユーザーへの対応。WCAG などの標準・法律を考慮する |
使用性の副特性(ISO 25010)
| 副特性 | 説明 |
|---|---|
| 適切度認識性 | ソフトウェアが自分のニーズに適しているかをユーザーが判断できる度合い |
| 習得性 | ソフトウェアの使用を習得できる度合い |
| 運用操作性 | ソフトウェアを操作・制御しやすい度合い |
| ユーザーインターフェース快美性 | UIがユーザーを満足させる視覚的・操作的な魅力 |
| ユーザーエラー防止性 | ユーザーの操作ミスを防ぐ度合い |
| アクセシビリティ | 多様な特性や能力を持つ人々がシステムを使用できる度合い |
使用性評価手法
シラバスでは以下の3つの手法が説明されています。
1. 使用性テスト
実際のユーザーがシステムを使用して特定のゴールに到達できるかをテストする。以下を測定する。
| 測定項目 | 内容 |
|---|---|
| 有効性 | ユーザーが正確かつ安全に指定のゴールを達成できるか |
| 効率性 | ゴール達成に対してユーザーに適切な度合いのリソースを使わせるか |
| 満足性 | 指定された利用状況でユーザーを満足させるか |
2. 使用性レビュー
使用性の問題を SDLC の早期(要件・設計段階)に発見する手法。ヒューリスティック評価 が代表的。
- 少数の評価者がインターフェースを検証し、認識済みの使用性原則(ヒューリスティック)への適合を判断する
- UIが視覚的である場合に特に有効(スクリーンショットは説明文より理解しやすい)
- SDLC 早期に問題を発見できるため費用対効果が高い
3. 使用性の調査・アンケート
ユーザーの振る舞いに関する所見・フィードバックを収集する手法。
| ツール | 概要 |
|---|---|
| SUMI(ソフトウェア使用性測定一覧表) | 使用性の明確な測定値を提供し、完了基準・受け入れ基準として活用できる |
| WAMMI(Webサイト解析と測定一覧表) | Webサイトに特化した使用性測定ツール |
どちらも過去の使用性測定データベースとのベンチマーク比較が可能。
アクセシビリティ
アクセシビリティは設計活動時から考慮する必要があり、統合テストから受け入れテストまで継続して実施する。
関連する標準・法律
| 法律・標準 | 対象地域 |
|---|---|
| WCAG(ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン) | 国際標準 |
| 障害者差別禁止法 | 北アイルランド・オーストラリア |
| 2010年平等法 | イングランド・スコットランド・ウェールズ |
| 第508条 | 米国 |
典型的なアクセシビリティ向上手段
- 音声認識による入力対応
- テキスト以外のコンテンツへの代替テキスト付与
- テキストサイズの変更を可能にする
テストアナリストの役割
- 使用性テストケースを仕様化する
- ユーザーと一緒にテストケースを実施するモデレーターを担う
- 使用性テストの専門スキルを持つテスト担当者・使用性設計エンジニアと協力して設計・実施する
ポイント:使用性テストは特別な人材の配置・専用のラボ・膨大な時間を要する場合があります。SDLC の計画段階から使用性テスト戦略を策定し、スケジュールを確保することが重要です。