プロダクト品質特性と副特性 (ISO/IEC 25010 2023年版)

ISO/IEC 25010 の最新版(2023年版)のプロダクト品質モデルでは、新たに 安全性(Safety) が追加されるなどの改訂が行われ、以下の 9つの品質特性 とそれぞれの副特性が定義されています。


1. 機能適合性(Functional suitability)

システムやユーザーのニーズを満たす機能を提供する度合い。

副特性説明
機能完全性(Functional completeness)必要なすべての機能が実装されている
機能正確性(Functional correctness)機能が正しい結果・精度を提供する
機能適合性(Functional appropriateness)機能がユーザーのタスク・目的にとって適切である

2. 性能効率性(Performance efficiency)

特定の条件下で、システムがリソースをどの程度効率的に使用するかの度合い。

副特性説明
時間効率性(Time behavior)応答時間・処理時間が適切
資源効率性(Resource utilization)CPU・メモリなどのリソース使用量が適切
容量満足性(Capacity)システムの最大制限(ユーザー数・データ量など)が要件を満たしている

3. 互換性(Compatibility)

他のシステムと情報を交換したり、同じ環境で他のシステムと共存できる度合い。

副特性説明
共存性(Co-existence)他のソフトウェアに悪影響を与えずに同じ環境で動作できる
相互運用性(Interoperability)他のシステムと正しく情報を交換し利用できる

4. インタラクション能力 / 使用性(Interaction capability / 旧: Usability)

ユーザーがシステムを効果的・効率的、かつ満足して使用できる度合い。

副特性説明
適切度認識性(Appropriateness recognizability)ユーザーが自分のニーズに合っているか理解できる
習得性(Learnability)ユーザーが操作方法を簡単に学べる
運用操作性(Operability)ユーザーが容易に操作・制御できる
ユーザーエラー防止性(User error protection)ユーザーが操作ミスをしないよう保護されている
ユーザーエンゲージメント(User engagement)ユーザーの関心を引きつける(旧: ユーザーインターフェース快美性)
インクルーシビティ(Inclusivity)障がいのある方など多様なユーザーが利用できる(旧: アクセシビリティ)
ユーザー支援(User assistance)システムがユーザーを支援する機能を提供する(新設)
自己記述性(Self-descriptiveness)システム自体が状態や使い方を明確に説明できる(新設)

5. 信頼性(Reliability)

指定された条件下で、指定された時間、システムが障害なく動作し続ける度合い。

副特性説明
無欠陥性(Faultlessness)システムに欠陥が存在しないこと(旧: 成熟性)
可用性(Availability)ユーザーが必要なときにシステムを利用できる
障害許容性(Fault tolerance)障害が発生してもシステムが動作を継続できる
回復性(Recoverability)中断・障害発生時にデータを復旧しシステムが回復できる

6. セキュリティ(Security)

情報やデータを保護し、権限に応じたアクセスを保証する度合い。

副特性説明
機密性(Confidentiality)権限のない者からデータを保護できる
インテグリティ(Integrity)データの正確さと完全性を保護できる
否認防止性(Non-repudiation)イベント・行動を後から否認されないよう証明できる
責任追跡性(Accountability)どのアクションが誰によって行われたかを追跡できる
真正性(Authenticity)主体やリソースの身元が本物であることを証明できる
耐性(Resistance)攻撃に対してシステムが持ちこたえられる(新設)

7. 保守性(Maintainability)

システムの修正・改良、または環境変化への適応が容易である度合い。

副特性説明
モジュール性(Modularity)システムが独立したモジュールで構成され、変更の影響を局所化できる
再利用性(Reusability)資産・コンポーネントを他のシステムで再利用できる
解析性(Analysability)欠陥の原因や変更の影響を容易に診断できる
修正性(Modifiability)欠陥を発生させずにシステムを修正できる
試験性(Testability)修正されたシステムをテストしやすい

8. 柔軟性(Flexibility / 旧: 移植性 Portability)

システムが異なるハードウェア・ソフトウェア、またはその他の運用環境に適応できる度合い。

副特性説明
適応性(Adaptability)システムが異なる環境へ適応させることができる
スケーラビリティ(Scalability)負荷の増減に応じてシステムを拡張・縮小できる(新設)
設置性(Installability)指定された環境にシステムを正常にインストール(またはアンインストール)できる
置換性(Replaceability)同じ環境内で、他のソフトウェアコンポーネントと容易に置き換えられる

9. 安全性(Safety)※新設

人間の生命・健康・財産、または環境に対するリスクを許容可能なレベルに抑える度合い。

副特性説明
運用上の制約(Operational constraint)危険を防ぐための制約を守って運用できる
リスク識別(Risk identification)運用中に発生しうるリスクを識別できる
フェイルセーフ(Fail safe)障害発生時に、システムが安全な状態を維持(または移行)できる
ハザード警告(Hazard warning)危険が迫った際に適切な警告を発することができる
安全な統合(Safe integration)他のコンポーネントと統合しても安全性を維持できる

参考

  • ISO/IEC 25010:2023 — Systems and software engineering — Systems and software Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE) — Product quality model
  • 旧版(2011年版)との主な変更点:
    • 「使用性」→「インタラクション能力」に改名・副特性を拡充
    • 「移植性」→「柔軟性」に改名・スケーラビリティを追加
    • 安全性(Safety) を新たな品質特性として追加